大原孝治社長の世界に向けた経営戦略
近年では訪日外国人による消費行動、いわゆるインバウンドの需要が注目されていますが、これはディスカウントストアの世界でも例外ではありません。たとえば株式会社ドンキホーテホールディングスの大原孝治代表取締役社長兼CEOは、2017年12月にシンガポールでの海外出店に漕ぎ着けていますが、これもきっかけは国内店舗のインバウンド消費です。
株式会社ドンキホーテホールディングスといえば、国内に多数のディスカウントストアを展開し、圧倒的な低価格と品揃え、そして外観のにぎやかさをもって知られています。国内でも知らない人はいない程の知名度を誇るのはもちろんですが、意外にも外国人にもこのスタイルが受けています。なかでもシンガポールなどの東南アジア諸国からの国内店舗への来訪客は、データを見る限り大きなウエイトを占めていることがわかります。
このように国内の店舗との親和性を考慮の上で、店づくりのノウハウがそのまま当てはまるシンガポールの出店、それも直営店方式による進出を決めたのは、大原孝治社長の経営戦略にもとづく判断といえます。実は株式会社ドンキホーテホールディングスでは、これまでも海外出店の経験がなかったわけではありましたが、今回のシンガポール出店とは異なり、現地企業を買収する方式となっていました。またカリフォルニアやハワイなど、もともと日系人が多く住んでいる地域がターゲットだったこともあり、今回の進出はそれよりもかなり踏み込んだ内容といえるでしょう。